クレーム対応の進め方:電話の初期応対から引き継ぎまで
クレーム対応で確認する事実、要望、次の連絡を整理します。電話の初期応対、責任者への引き継ぎ、対応記録の作り方を例で解説します。

クレーム対応では、起きた事実と顧客の要望を分けて確認し、次の対応を明確にします。電話を受けた担当者がその場で解決できない場合も、確認先と次の連絡を決めておくことが大切です。
たとえば、返品を受け付けた後に返金の進捗を尋ねられた場面を考えてみましょう。前回の案内が残っていなければ、顧客は同じ説明を繰り返すことになります。応対の言葉とあわせて、記録の残し方も決めておきましょう。次の担当者が記録を読んで対応を続けられるか、確かめてください。
この記事の要点:クレーム対応で確認すること
最初に整理したいのは、何が起きたか、顧客が何を希望しているか、誰が次に動くかです。原因がまだ分からない段階では、確認できたことと調査が必要なことを分けます。
| 段階 | 確認すること | 残しておく内容 |
|---|---|---|
| 話を聴く | 顧客が困っている状況 | 申告された事実と要望 |
| 内容を確かめる | 日時、商品、注文などの必要な情報 | 確認済みの情報と未確認の情報 |
| 対応を検討する | 担当者の権限で判断できる範囲 | 判断する人と確認事項 |
| 次の連絡を決める | 連絡方法と顧客の都合 | 連絡する担当者と時点 |
| 結果を確かめる | 案内した対応が実行されたか | 実施内容と残っている問題 |
これは運用を整理するための例です。商品の種類や社内の決裁手順に合わせて調整してください。迷惑行為への組織的な対策は、別のカスハラ対策ガイドで扱っています。
電話でのクレーム対応を進める手順
電話では、相手の話を聴きながら内容を整理する必要があります。途中で原因を決めつけず、説明が一区切りついたところで要点を確認しましょう。
困っている状況を聴き、必要なことを確かめる
まずは顧客が何に困っているのかを聴きます。謝罪をする場合も、確認していない原因や補償まで一度に約束しないようにします。
以下は初期応対の言い方の例です。
お手数をおかけしております。どのような状況か、詳しくお聞かせいただけますか。
聞き取った内容は、要点をまとめて確認します。たとえば返品後の問い合わせなら、次のように尋ねられます。
返品の手続きは済んでいて、現在の返金状況を確認されたいということですね。
ここで必要なのは、希望する結果を取り違えないことです。返金の希望なのか、すでに案内された返金の進捗確認なのかで、次に調べる内容が変わります。
記録には、顧客から聞いた内容と、社内で確認できた内容を区別して残しましょう。「商品を返送したとの申告」と「倉庫で受領を確認」は別の情報です。
判断が必要な内容は確認先を決める
担当者の権限で判断できない場合は、責任者や担当部署へ確認します。返金の可否などを、その場の雰囲気だけで約束しないことが大切です。
次の連絡は、確認に必要な時間と相手の都合を踏まえて決めます。時刻が確定していないのに、すぐに折り返すと約束すると、再度待たせる原因になります。
案内例としては、次のような伝え方が考えられます。
返金の処理状況を担当部署に確認します。確認結果をご連絡する方法と時間帯について、ご都合を伺ってもよろしいでしょうか。
連絡する時点までに結論が出ない場合の扱いも、チームで決めておきましょう。確認中の内容と次の見通しを伝える担当者が必要です。
交代する前に、引き受ける人を確認する
別の担当者に情報を送った後は、誰が引き受けたかを確認します。依頼した側と受け取る側の認識がずれると、双方が相手の対応を待つことがあります。
大阪商工会議所の2022年のクレーム電話応対研修では、一次応対から二次応対への引き継ぎを扱っています。個人の応対から組織としての対応へ移る場面を、研修で練習する考え方です。
クレーム対応マニュアルに引き継ぎ項目を入れる
引き継ぎでは、確認済みの内容と未確認の内容を分けて残します。長い会話をすべて書き直すよりも、次の判断に必要な項目をそろえると確認しやすくなります。
次の6項目は、社内用の引き継ぎ票を作る際のたたき台です。
| 項目 | 記入内容 | 返品後の問い合わせを想定した例 |
|---|---|---|
| 発生した事実 | 日時、対象、確認できた状況 | 返品受付の記録を確認。倉庫での受領は未確認 |
| 顧客の要望 | 何を知りたいか、何を希望しているか | 返金の処理状況を知りたい |
| 案内済みの内容 | 説明したことと約束したこと | 担当部署に確認して連絡すると案内 |
| 未確認の事項 | 次に調べること | 受領状況、返金処理の進捗 |
| 引き受ける担当者 | 誰が確認し、誰が連絡するか | 受領確認は倉庫、顧客への連絡は担当オペレーター |
| 次回連絡 | 合意した方法と時点 | 顧客と確認した連絡方法・時点を記入 |
この例は架空の運用例です。実際の案件では、社内で決めた権限や処理手順に合わせて記入します。
未回答の依頼を見直す方法も決める
確認先から回答がない場合、どこまで待ち、誰が再確認するのかを決めておきます。顧客との次回連絡だけを記録しても、内部の確認が止まっていれば案内できません。
引き継ぎを受けた人には、残っている確認事項を自分の言葉で説明してもらう方法があります。説明が食い違う箇所は、元の担当者が補足します。これは記録の読みやすさを点検する練習にもなります。
外部のチームを利用する場合も、社内で判断する人と連絡経路をそろえる必要があります。コールセンターの外部委託を検討する際は、この役割分担も確認してください。
記録を業務に合わせて整理する
Callnovo.aiの顧客対応ソフトウェアであるHeroDashには、業務に合わせて項目を設定する機能があります。階層ごとの選択肢や数値の項目、入力形式の確認を使い、商品や問い合わせの種類を整理できます。
この仕組みを使う運用案として、問い合わせの分類と未確認事項を別の項目に分ける方法が考えられます。設定した項目が実際の判断に役立つか、担当者が引き継ぎを試して確認しましょう。
対応履歴を研修と再発防止に使う
研修では、案内文を読むだけでなく、顧客役と担当者役に分かれて応対を試してみましょう。聞き取った内容を、次の担当者が使える形で残すところまで行います。
ユーザ協会愛媛支部が案内した2026年2月の研修には、初期対応のロールプレイングが含まれています。傾聴、話し方、伝え方を練習する内容です。
自社の練習では、次の項目を担当者同士で確認してみましょう。
| 観察する場面 | 確認すること | 振り返りで残すこと |
|---|---|---|
| 話を聴く | 顧客の説明を途中で決めつけていないか | 追加で確認すべき質問 |
| 内容を整理する | 事実、要望、未確認事項を区別できたか | 記録の不足や表現の曖昧さ |
| 次の対応を伝える | 確認先と次回連絡を説明できたか | 実行できる約束になっているか |
| 引き継ぐ | 次の担当者が続きを説明できたか | 補足が必要だった情報 |
英語サポートの事例から考える
Callnovo.aiが2026年9月11日に公開したスマートコーヒーマシンの事例は、北米向けの英語サポートを扱っています。公開記事では、担当者が製品の説明を理解したうえで、分かりやすい言葉による案内を練習したと説明しています。
また、繰り返し発生する初期使用時のつまずきを整理し、ブランド側と説明用カードの改善につなげたとしています。顧客から聞いた困りごとを、次の応対や製品の説明に反映した例です。
自社の対応履歴でも、同じ説明で迷う人がいないかを確認できます。商品の使い方が原因なのか、案内が分かりにくかったのかを分けて整理しましょう。見直す対象を決めた後は、変更した説明を使って再び練習します。
運用前のチェックリストとまとめ
クレーム対応の手順は、別の担当者が記録を読んで続きを引き受けられるかで点検できます。実際の運用に入る前に、練習用の案件で次の項目を確認しましょう。
- 申告された内容と社内で確認した事実を分けている。
- 補償や例外を判断する人が決まっている。
- 未確認事項ごとに確認先が分かる。
- 次回連絡の担当者、方法、時点が記録されている。
- 担当者が不在の場合の引き継ぎ先が決まっている。
- 案内した対応の実施状況を確かめる方法がある。
連絡を済ませた後にも、問題が残る場合があります。未解決の内容があれば、その後の担当者と対応を記録します。繰り返す問題は、研修や案内資料の見直しに取り上げましょう。
チームで確かめたいこと
次の担当者は、記録だけで未確認事項を説明できるでしょうか。顧客との約束を誰が引き継ぐか、すぐに分かるでしょうか。実施した対応の結果を、どの情報で確かめるでしょうか。クレーム対応マニュアルを見直す際は、これらを実際の引き継ぎで試してみましょう。
出典
- 大阪商工会議所「クレーム電話応対研修」、2022年の研修案内。2026年10月28日確認。
- ユーザ協会愛媛支部、2026年2月開催のクレーム電話応対研修案内。2026年10月28日確認。
- Callnovo.ai、スマートコーヒーマシンの英語サポートに関する自社事例、2026年9月11日公開。原文は中国語。
導入前によくいただく質問
- クレーム処理のフローチャートは?
- 基本の流れは、話を聴く、事実と要望を確認する、対応を判断する、実行する、結果を確かめる、です。途中に「担当者の権限で判断できるか」「追加確認が必要か」の分岐を置きます。判断できない場合の確認先も書いておきましょう。
- 接客でクレームがあった場合、例文は?
- 初期応対の例として「お手数をおかけしております。詳しい状況をお聞かせいただけますか」と尋ねる方法があります。その後は聞いた内容を要約して確認します。原因や補償については、確認した事実と担当者の権限に沿って説明してください。